DJ機材や Sound Systemの歴史の中で忘れてはいけない名前があり、それは Alex Rosner です。
彼は世界初のステレオ再生のクラブ用サウンドシステムを構築しました。
この時、既にクロスオーバー(チャンネルディバイダー)を使ってシグナルを分けツイーターアレー(複数のツイーターを1チャンネルと見立てて音を出す方式)を吊るしていました。
彼は David Mancuso の The Loft や Paradise Garage の初期のサウンドデザインを行った人物であり、世界初のDJミキサー ”ROSIE” を開発しております。このミキサーの登場でそれまでの初期の DJ スタイルからモダンな DJ のスタイルへと大きく変貌していくきっかけとなりました。
そして Alex Rosner が BOZAK へ PA ミキサーを少し改造すれば DJ ミキサーが作れるのではないか、とアドバイスを与えたのがきっかけで誕生したのが世界初の商業用 DJ ミキサー BOZAK CMA 10 2D でした。
BOZAK CMA 10 2D はそれから先数年にわたり進化を止めることなく BOZAK 社が無くなるまでの間クラブ用 DJ ミキサーのトップブランドとして走り続ける歴史の始まりでした。
そして CMA 10 2D へ LOOP IN/OUT 機能をつけ XLR(unbalanced) のマスターアウトを装備したものが CMA 10 2DL で、BOZAK のスタンダードモデルと呼ぶにふさわしい名機です。
ちなみに BOZAK ミキサーのマスターアウトは最高30メートル先のアンプまで HI 落ち無しでシグナルを飛ばすほどの怪物ミキサーです。
BOZAK では色々なファクトリーオプションも存在しました。エクストラ用のフォノカード(最高4枚まで装着可能)や BOOTH OUT を取り付ける改造や LINE AMP CARD (このカードの増設により OUTPUT GAIN が大幅にアップする)の販売、ラインインプットの増設(mic入力と入れ替え)等を行い、あらゆるクライアントやクラブの要望にこたえ続けておりました。
そしてBOZAKの倒産をきっかけに Richard Long(RLA) が UREI 社に BOZAK ミキサーを持って行き早急に作ってもらったのがその後のスタンダードで、今現在もトップミキサーのポテンシャルを武器に最前線で走り続けている UREI 1620 が誕生しました。(と言われています)
そして UREI 社も JBL に買収されて、残念なことに DJ ミキサー部門は LA の大地震をきっかけに消えてなくなったと言われております。
UREI が主流になった頃にはDJブースにディレイのエフェクターを入れてフロアに地震を起こしたりファンタジックなエフェクトを施すようになりました。
またこの頃よりプロセッサーがもたらす音色への変化も目まぐるしく進化してゆきます。
その中でもユニークなテイストを持つ機材としてあげられるのが、エキスパンダーです。コンプレッサーとは逆の働きをします。コンポレッサーが大きな音を抑えて小さな音を大きくリアルタイムに加工することである程度どのような音量でも聞きやすくします。
しかし加工された分、楽曲が持つオリジナルのダイナミックスを体感することができません。大半の曲がマスタリングの工程を経てコンプレスされた状態でユーザーに届きます。それって実は平べったい音が出ているのです。大半のリスナーは平べったい状態の音楽を聞いていると言うことです。
そこでエキスパンダーの出番となります。エキスパンダーは圧縮された音源を解析し、小さな音は小さく、大きな音は大きく鳴らします。
楽曲が持つ本来のダイナミックスを忠実に(もしくは大袈裟に)再現します。
上の RG は Paradise Garage やその他の RLA でよく使われていました。その下の DBX は GSA(Gary Stewart Audi)で必ず使われていました。
とある GSA が手掛けたモンスターサウンドをふんだんに導入したクラブのグランドオープニングのイベントでとある有名 DJ がその立体感のある迫力のあるサウンドにこう言いました。
「すごいいい音だね、どんなコンプレッサーを使っているの?」
その質問に大して Gary は自慢げに「We Are not Compressing, Expanding!!」と言っていました。
もう一つ変わり種のプロセッサーで、Acoustilog 社 が開発した IE102 です。その名の通り、イメージをエンハンスする機材です。音像を拡張する、と言うことでしょうか。ノブを回していくと音が広がっていく感覚です。
1990年代にはロータリーミキサーでは闇の時代へ突入していましたが、そんな中登場したのが”アイソレーター”でした。
Joe Clausell の熱いプレーに一気に多くのDJ達から市民権を得て、一つのスタイルをも創り出しました。
そしてその数年後PioneerによるDJ用エフェクターEFX-500も登場しアイソレーターと同じくDJの必需品としての地位が確立され今なお愛され続けているエフェクターです。
ロータリーDJミキサー信者にとっては真っ暗闇の様な時代が続く中アメリカとは遠いフランスのパリで新しいロータリーミキサーが産声を上げていた。
Jerome Berbe氏のデザインによるE&S DJR100の誕生でした。このミキサーは世界各地のロータリー好きに衝撃を与えました。
世界中のロータリー信者がその存在に注目しました。
そしてその後トラベルDJ達の要望から開発されたのが世界初のポータブルロータリーDJミキサーDJR400FX の登場です。
これには多くのDJも賞賛する、素晴らしいミキサーの登場となります。
つづく、、、、
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